2012年01月24日

肛門周囲腺腫について

1月末ですが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
飼い主のみなさまも健康に気を付けてよい年になるよう願っています。


今回は肛門周囲腺腫という腫瘍について書きます。
この腫瘍は去勢していないオスにできることがほとんどです。
肛門腺からできる腫瘍なので、名前の通り肛門の近くにできることが多く、時に十数cmくらいになることもあります。
ただ、メスでもできることはありますし、尾や腹部にできることもあります。
良性の腫瘍なのでほっといてもあまり問題にならないことも多いですが、潰瘍を起こしたり、大きくなると、物理的に排便等を邪魔したりします。
また、まれに肛門周囲腺癌という悪性の腫瘍もあるのですが、見た目では区別つきません。

治療は腫瘍の切除と、去勢手術を一緒に行うことが多いです。
この腫瘍は雄性ホルモンの影響をうけてできるため、去勢をしていなければ、必ず去勢も行った方がよいです。
ただ、万が一肛門周囲腺癌だとしたら、手術が難しいことも多いです。
大きく、浸潤していく傾向があるため、肛門のまわりの筋肉を一部どうしても切除せざるをえないことがあります。
その場合、術後は便失禁も起こりえます。
やるなら、早いに越したことはないのかもしれません。

正常な犬と猫の肛門


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by.獣医師 緒方
posted by tokuchan at 16:34| Comment(0) | Dr.緒方の「お答えします」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月08日

扁平上皮癌について

今回も腫瘍について記載します。
主に皮膚でできる腫瘍で、扁平上皮癌についてです。前回の肥満細胞腫と同様悪性腫瘍でほっとくとやはり命に関わります。


部位は頭、手足、腹部、肛門周囲にできやすいとされています。
盛り上がった形態をする固い腫瘤ですが、潰瘍を起こすことも多く、ジュクジュクとしたひどい皮膚炎のように見えることもあります。
腫瘍はどんどん浸潤する(奥に入っていく)傾向があり、時に皮膚だけでなく筋肉や骨にも浸潤します。

多くの扁平上皮癌は境界明瞭で、適切に外科的に取れた場合、良好な経過をたどります。しかし、どんどん浸潤する傾向があるため、広範に切除することもしばしばです。転移はまれですが、非常に悪性度が高い場合、リンパ節や肺に転移する可能性もあり、切除が困難になることもあります。

そのため、治療としてはまずは外科的切除をおこなうべきであり、場合によっては、その他非ステロイド系消炎鎮痛剤や放射線療法、抗がん剤の併用等も行われることがあります。


by.獣医師 緒方玲


下記は扁平上皮癌の細胞です。とても大きな細胞で、形はカクカクしています。



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posted by tokuchan at 18:21| Comment(0) | Dr.緒方の「お答えします」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月22日

肥満細胞腫について

 今回は肥満細胞腫という怖い腫瘍について書きます。
 比較的多い腫瘍です。

名前からとても太ってしまったり、かわいらしいできもののように聞こえますが、とんでもない。とても恐ろしい悪性腫瘍で、ほっとくと(ほっとかなくても)命にかかわることもしばしばです。


皮膚にできることが多いですが、肝臓、脾臓にもできます。とても浸潤傾向(どんどん奥に入っていく傾向)が強く、また転移もしやすいため、見た目以上に腫瘍がはびこっていることも多々あります。

皮膚にできるときの見た目もさまざまで、見た目ではわかりません。赤く腫れたようなできもの、ジュクジュクしたような形のもの、かと思えば固いしこりのようなときもあります。
幸い肥満細胞腫はできものに針を刺して、その細胞を見ることでその場で簡単にわかることが多いので気になるできものがあれば、とりあえず病院で細胞の検査してみるのがよいかもしれません。

治療は手術で取れるものならできるだけ取った方がよいです。さきほど述べたように、見た目以上に浸潤していることが心配なので、たとえできものは小さくてもけっこう大きくとります。転移が疑われる場合、取りきれない場合、さらに抗がん剤や、腫瘍による悪影響を少しでも抑えるための薬を使うこともあります。


下の写真は猫の肥満細胞腫の顕微鏡写真です。

11102106.jpg



細胞の中に青いぶつぶつした顆粒があるのが特徴です。

by.Dr緒方
posted by tokuchan at 20:01| Comment(0) | Dr.緒方の「お答えします」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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