巨大結腸症とは、結腸が著しく膨満し(図1)、運動能が低下して便秘等の症状を呈する疾患です。骨盤が狭かったり、腫瘍ができたりすることでウンコが出にくくなると、ウンコが過剰に溜まり、結腸が伸びきって巨大結腸症となるほか、原因不明で起こることもあります。
図1:正常と巨大結腸症の結腸
症状としては、便秘、抑うつ、食欲不振、嘔吐などがあります。
食事や薬剤などによる内科的な治療で維持できない場合には、大きくなった結腸を摘出する手術を行います。
今回手術を行った症例についてご紹介します。
種類:日本猫
年齢:1歳
性別:去勢雄
この猫は保護された子猫の頃から便秘がありました。明らかな原因も見つからない為、可溶性繊維を多く含む食事や緩下剤、消化管運動調節薬などを用いた内科的治療で経過を見ていましたが、重度な便秘が改善されなかったため手術が行われました(図2)。
図2:開腹するとすぐに膨満した結腸が認められました。この後、結腸の大部分を切除しました。
巨大結腸症を手術した後には軟便となることがありますが、予後は一般的に良好とされています。この猫も今のところ軟便ですが、順調に排便できているとのことでした。今後も慎重に経過を見守っていきます。
by.獣医師 本田
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