甲状腺は喉付近にあり、気管のすぐ横にくっついている臓器です。
甲状腺では甲状腺ホルモンをつくっており、体の活動性などと密接に関係します。
その子は元気がなく、あまり歩かないとのことで、いらしたのですが、熱が40.7℃ありました。
熱中症ではなさそうで、一般的な血液検査や、レントゲンでは大きな異常がなく、熱の原因が不明でした。
性格のとても良い子だったので、撫でているときに、喉のあたりにしこりが見つかったので、針を挿しての検査と、甲状腺ホルモンを検査したところ、甲状腺機能亢進症になっているようで、甲状腺の腫瘍の可能性が高く思われました、。
犬の甲状腺の腫瘍は悪性が多く、転移等がとても心配されましたので、早めの手術をすすめ、手術をさせていただきました。
手術時の写真です。頸部を切開していき、甲状腺だけを分離していったところです。
中心にある丸い組織が甲状腺で、大きくなっています。
ただ、犬の甲状腺の腫瘍はもっともっと大きくなり、周りの組織や血管、神経を大きく巻き込んだ状態で発見されることが多いことからすると、ある程度小さい方で、早期発見とも言えるかもしれません。
取り出した腫瘤を病理検査に出したところ、甲状腺癌という診断結果でした。
甲状腺癌はだいたい大きく、周辺の血管、神経を大きく巻き込んで発見されることが多いことからすると、比較的早期発見された方かもしれません。
病理の検査結果では腫瘍は取りきれているとのことですが、再発や転移がとても心配される腫瘍の為、現在慎重な経過観察をしています。
by.獣医師 緒方 玲