貧血は酸素を運ぶ役目の赤血球の数が少なくなった状態のことで、いわゆる「血が足りない」状態のことです。
その貧血にも、赤血球が作られてるけど、どんどん壊されてしまっている「再生性貧血」と、赤血球が作られない「非再生性貧血」の2タイプがあります。
再生性貧血の場合は、出血だったり、赤血球に感染する原虫(バベシア等)が原因だったり、自分の赤血球を異物として認識して壊してしまう自己免疫性の病気が原因となります。
非再生性貧血は、抗がん剤やその他薬物による中毒や、ネコでは猫エイズや猫白血病で見られます。
そして意外なのが、腎臓が悪くなると非再生貧血になることがあります。
腎臓と血液…一見関連がなさそうに見えますが、これは、腎臓でエリスロポエチンという「赤血球を作りなさいホルモン」が作られているのが、腎臓が悪くなることでこのホルモンが足りなくなり、赤血球を作りなさいというシグナルが少なくなってしまうのです。
このような貧血を「腎性貧血」と呼び、エリスロポエチン製剤の補充等で貧血の改善を図ります。
体の仕組みは巧妙というか、複雑というか…。
下の写真が、血液の細胞を顕微鏡で見た写真です。丸くたくさん散らばっているのが赤血球、真ん中にある紫色の核を持った細胞が感染と戦う白血球です。
獣医はこんなものを見ながら診察をしています。
by.獣医師 近藤